わーっと私を泣かせた人

 

子供の頃、歯科衛生などという概念のまったくない家で育った私は虫歯が多く、

しょっちゅう虫歯の痛みに悩まされていた。

夏休みになると、毎日、歯医者に通い、おじいちゃんやおばあさんたちがたくさんいる待合室で、眠気にウツラウツラしながら自分の順番をずっっと一人で待ったものだ。

あれは辛かったなあ。

 

何しろ、ちゃんと歯を磨いていないし、

どう磨くのがいいのかやり方も知らないし、

通っていた歯医者ではブラッシング指導などもない。

これでは虫歯になってもやむを得ない。

だからこそいま、すごく歯を大切にしている。

歯のためにタバコまでやめたほどだ。

 

ある日の夕方、すでに虫歯治療した奥歯が痛くて痛くてたまらない。

治療したばかりなのに。

母親に言っても夕飯の支度で忙しくて相手にしてもらえず、

幼いわたしはたった一人で痛みと戦った。

 

「ただいま。」

そこへ父親が絶妙なタイミングで帰ってきた。

わたしは父親の顔を見た瞬間、わーっと泣き出してしまったのだ。

母親が、おやおやお父さんには甘えちゃって、そんなに痛くもないのに……といった反応を示したが、

わたしはわーっと泣いて父親の胸に飛び込んで、痛みがぶっ飛んでしまった。

そのあとのことはもう覚えていない。

 

なぜ母親の前では泣かなかったのだろう?

なぜ父親の顔を見てわーっと泣きだしたのだろう?

きっと、痛みと戦っていた自分のことを父なら受け止めてくれると思ったのだろう。

なんだかいまそれを思い出しただけでも涙が出てくる。

父は本当に優しい男だ。

 

なぜ長々と子供時代の思い出を語ったのか。

それは、今週、同じようにわーっと泣いてしまう自分が飛び出してきたからだ。

夏休み、認知症になった母親とそれを介護する父親を少しでも助けたいと子供たちを置いて帰省して、もう少し母が自立できるような支援と父親を助けることを娘としてできないものかと悶々としているときに、福祉のプロの友人と会ってランチをしたのだ。

 

状況については、わたしのブログを読んですでに理解してくれていた友人は、わたしの顔を見て一言「どうした?」と声をかけてくれた。

その言葉にわたしは、張りつめた糸がプチっと切れたようにわーっと泣き出してしまったのだ。

そんな自分に、「わたしけっこう頑張っていたんだ」「わたしけっこう辛かったんだ」ということに気づいた。

 

家に戻ってから、あ、これってあのときと一緒だ、と気づいた。

彼女の「どうした?」と、父親の「ただいま。」がダブった。

さすが彼女は福祉のプロ。このわたしを泣かせるなんて!(笑)

ランチをしながら、どういう介護プランがいいのか、だれに相談すると一番いいのか、いろいろ情報を提供してくれた。

 

介護は、本人は必死だからあまり気づきにくいが、体と心に大きな負担となってのしかかっているのだ。

わたしはたった1週間の滞在だったが、父は毎日、母と向き合っている。それは大変な負担だ。

なんとか父親のフォローをしたいと思う。

しかし、それにしても、秋田は遠いなあ。

 

 

 

 

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